病院実習体験談 ~またやりたいと言えるほどの体験~

薬学部に関する体験談を後輩薬学生のために

を目標として、薬学生の体験談を集めています。

今回は病院実習の体験談を紹介していきます。

体験談を語ってくれるのはこの方。

プロフィール
名前:hori
大学:日本薬科大学6年
実習場所: 埼玉県
病院データ:病床数733床、診療科44科、急性期、薬剤師数61名、薬学生人数3名
簡単な自己紹介:サッカー、フットサルサークル活動をしていました。現在は卒論と国試勉強をしています。当時、病院実習に行く前の私は勉強しておいた方が病院実習でより理解を深めることの出来る教科・分野を調べていました。ですが、そのような情報はありませんでした。なので、これから実習に臨む後輩の薬学生へ役に立つ情報を伝える事が出来ればいいなと思い書かせていただきました。最後まで読んで頂ければ光栄です。

病院実習が始まる前に考えていたこと

病院実習前に薬理の青本を1周しておこうと思い勉強していたのですが、直前であったので全然終わらせる事が出来ませんでした。

そして、4年生のCBT前にもう少し力を入れて勉強しておけばよかったと後悔していました。

病院実習に関して不安に思っていたことはありましたか?

薬局実習の時に、指導薬剤師の方や元病院薬剤師の方から病院薬剤師の業務についてお話を伺う機会がありました。

その時に、病院は薬局よりも忙しいし色々大変だと思うよと言われたので、

  • 放置される時間が結構あったりするのかな
  • 聞きたい事があっても聞きにくい感じなのかな
  • という不安がありました。

    コアタイムや土日の実習の有無、1日のスケジュールを教えてください

    平日は8:20~12:00と13:00~17:30、土曜日は3週間に1回セミナー、日曜日はありませんでした。

    病院実習でどんなことをした?

    ・抗がん薬調製、内服調剤、注射調剤、TPN混注
    ・薬品管理、DI業務(カンファレンスでの新薬情報・新規採用薬情報の発表など)
    ・病棟実習(服薬指導、医師への処方提案、褥瘡チームの往診などに同行)
    ・がんセミナー、感染セミナー、NSTセミナー、治験、症例発表会

    病院実習で大変だったことはありますか?

    がんセミナーでの症例検討です。具体的には、多発性骨髄腫(MM)に対する薬物療法の検討です。この疾患はガイドラインが今だに作成されていません。MMに適応のある薬を6種類(HDAC阻害薬など)に絞り、それぞれのMMに対する治療効果を論文を元に評価し、患者様のQOLも考えた上で薬剤師の立場で適切な薬物療法を提案してみようという課題でした。簡単に言うと以下の3点について理解する必要がありました。
    ・多発性骨髄腫はどのような疾患であるか?
    ・多発性骨髄腫に対する薬物療法はどのようなものがあるか?
    ・患者様はどのような生活を送りたいと考えているか?
    設けられた時間は実習のある水曜日、木曜日、金曜日の3日間しかなく、土曜日にはがんセミナーでしたので大変でした。しかし、そのおかげでセミナーの内容に頭がついていくことができ、約1年経った今でも多発性骨髄腫に関する薬物療法ならば、わかりやすく説明できる自信があります。

    病院実習で印象的なことはありますか?

    「薬の副作用のお話とかする時間?病室に戻るから待っててね。」と私が以前に服薬指導をさせて頂いた患者様から廊下で声を掛けて頂いた事です。その患者様は薬をあまり好まない方であったばかりに少し驚きました。急性期病院では患者様の入院する期間が短いので顔を覚えて頂く事は難しいと思っていたので、時間をかけて服薬指導をやらせて頂いていて良かったと思いました。そして、この出来事から入院患者様への服薬指導にやりがいがさらに増しました。

    病院実習先では、薬剤師さんや他職種の方と仲良くなれましたか?

    私の実習先では、指導して下さる担当の薬剤師の方が毎日入れ替わっていましたが、3週目ぐらいになると前に指導して頂いた薬剤師の方が担当して下さっていました。4週目ぐらいからは病棟に向かう移動時間に雑談もするようになり、私の私服(ピンクと白のボーダーシャツ)が白衣の上から透けていたらしいのでピンクシマシマと呼ばれるようになるくらい仲良くなれました。実習後には、新人薬剤師の方々が飲み会を開いて下さり、仲良くなれてプライベートでもたまに連絡を取らせて頂いています。
    看護師の方とも話す機会がありました。他職種の方から見ると薬剤師の先生と実習生が同じ容姿ですので、薬剤師の先生と間違えて実習生の私に薬に関する質問を頂いたりということがあり、それがきっかけで話したりしました。
    研修医の方とも話す機会がありました。腎障害がある便秘の患者様にマグミット(酸化マグネシウム)が処方されていて、疑義照会での中で処方提案という形でお話をさせて頂きました。
    医師の方とも話す機会がありました。NSTチームで患者様のカルテを見てカンファレンスをしている時に、その医師が処方した経緯などを私たち実習生に細かく説明して頂きました。

    病院実習を乗り切るためのアドバイスはありますか?

    この文を実習直前に読んで頂いているのか、実習の1ヶ月以上前に読んで頂いているのかで分けます。前者の場合は、「実習生と仲良くする」を意識する事だと思います。指導薬剤師の方に強い口調で言われても同じ立場の実習生が居た事で、つらさ・苦しみが共有できグッと軽減されました。逆に、患者様から感謝された事など嬉しいことも共有する事で嬉しさが倍増しました。私はこのような文言はキレイごとにしか聞こえない人間なのですが、いざその状況に自分がなってみると同じ立場の実習生は非常に心強い仲間になっていました。
    他には、新人薬剤師の先生は歳が近いので話しやすいですし、指導薬剤師の先生は実習に来ている薬学生に毎年指導されているプロですので、この方たちとも仲良くなりやすいと思います。それによって、病院実習を乗り切るという考えから病院実習があと〇〇日で終わってしまうという考えに自然にシフトしていくと思います。私は、実習前は病院実習に行きたいとは思っていませんでしたが、実習が始まってから折り返しの時点で学校の講義・研究に戻りたくないと思っていました。笑
    後者の場合は、これまでのアドバイスに加えて処方解析の勉強がより実習を楽しいものにしてくれるのではないかと感じました。私の大学では処方解析の教科書があるのですが、ない場合は病態・薬物治療や薬理で良いと思います。まず指導薬剤師の先生方から実習中に質問されたことを箇条書きで挙げていきたいと思います。
    ・「抗MRSA治療薬全部言ってみて」
    ・「サムスカ(トルバプタン)ってどういう薬で何に気を付けないといけない?」
    ・「糖尿病治療薬のSGLT2阻害薬(○○グリフロジン)って患者さんに説明する時に
    絶対に言わなきゃいけない事って分かる?」
    ・「この人(抗悪性腫瘍薬投与中の患者様)何で尿酸下げる薬飲んでるのか分かる?」
    ・「ノバスタン(アルガトロバン)の用法・用量で気を付けないといけない事は?」
    ・「ステロイドを服用している患者様で気を付けないといけない事は?」
    ・「この検査値(AST、ALT、γ-GTP)が高いってことはどういうこと?」
    等などです。これ以外にもまだ当時のメモにはありましたが、キリがないのでこの程度にさせて頂きます。少し難しめの質問ばかり挙げてみたのでこれらの事が今の時点で1つでも答えられるのであれば問題ないと思います。質問された内容のほとんどは薬の作用機序、併用禁忌、薬物代謝(肝代謝か腎排泄か)が分かれば答えられました。これらは処方解析学で効率よく力を身に付けられるのではないかと感じました。

    薬学部を卒業した後の将来の職業は?

    薬局薬剤師です。ちなみに、つい先日まで病院薬剤師になるか薬局薬剤師になるか迷っていました。

    病院実習の感想

    また行きたいと約1年経った今でも声を大にして言える程に楽しかったです。そして、やりがいも凄かったです。私は、引っ越しやピッキング、接客業などバイトの域は出ませんが、それぞれ1年間経験してきました。バイトと病院実習を比べるのは自分でも如何なものかと思いますが、ダントツで一番楽しかったのが病院実習でした。もちろん実習であるのでいくら頑張っても時給が発生することはありませんが、薬学部に入学してから約4年間も頑張ってきた勉強を臨床の場でアウトプットできる機会を与えて頂けます。そして、患者様から感謝されるという経験をできました。それは、これからの勉強の意欲にもなりますし、何より心地いい気分になりました。病院実習中につらい事があっても乗り越えられれば1年後にはいい思い出になっていると思います。ですが、本当に辛くてどうしようもないときは指導薬剤師の先生や大学の信頼できる先生に報告してみるのも大事です。
    初めてやる事ばかりで不安からのスタートになってしまうと思いますが、皆さんの11週間が良かったと思えるような時間になることを願っています。
    常套句になってしまいますが、頑張ってください!

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